食品工業における沈降性障害
石泉は長年にわたり、自然浄化促進剤ミネロン導入と、活性汚泥健全化のコンサルティングを行っております。
ミネロン導入の中で、活性汚泥における微生物の顕微鏡観察に基づいて得てきた多くの維持管理の経験と情報を活かし、
現状でお困りの多くのお客様に活性汚泥の健全化を図るため、日夜改善を行っております。
ここでは、その事例のご紹介をさせていただきます。
排水管理コンサル事例
2013.05.31
F工場 K社
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汚泥に付着している未分解物が多く、粘性が高いので、逆転現象を起こしている。
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流入負荷対策など行い処理状況が改善。
流入油脂が多く、分解が追いついていないため、放線菌の発生が顕著です。
スカム内部だけでなく、汚泥フロックにも付着し、ミコール酸による粘性状態を引き起こしています。
フロック内部に付着している放線菌の拡大写真です。ここまでおおわれると、SV測定で汚泥が浮上、逆転します。
遊離し始めた放線菌の写真。その後、処理状況を精査して、対策を実施した結果、流入油脂負荷を低減できました。生物相に変化が現れ始めました。
フロック内部でも剥離した放線菌が目立ち始めました。この時からミコール酸の影響が徐々に低下して、沈降性が改善し始めています。
フロック状態での改善も進み、放線菌はフロック間に遊離した状態で、散見する程度になっています。
問題点
食品工場の排水処理施設全般に言える事ですが、設立時、限られた資金の中で設計されることの多い排水処理施設は、どうしても設計ギリギリの事が多くなります。
しかしながら、企業として、その生産内容は経済事情に応じ、幾度となく変化し、その廃水に含まれる流入負荷の状態も、併せて変化する事が多くなります。
もちろん、排水処理施設は間接的な製造処理施設でありますので、初期の設計から、流入状況に応じて変更する事は簡単ではありません。
ですので、流入負荷状況の変動による処理の難しさと言うものが起きやすくなります。
この処理施設でも、まさにそのような環境の中で、高負荷油脂の流入と言う状況が発生し、沈降性障害を起こしていました。
改善策
先ず、生物処理槽内における、汚泥の粘性原因を精査しました。
流入負荷量の確認、沈降性の状態のチェック、汚泥性状のルーペによる観察、処理槽内の汚泥量、PH、溶存酸素量の確認、処理槽概要(容積負荷等設計当初の方針等)そして、汚泥サンプリングによる顕微鏡観察を行い、細菌相の状態を確認致しました。
その結果、流入廃水基質が、設計当初よりも油脂成分の多いものに変化している事、それにより処理槽内の嫌気性環境が進んだこと。更には放線菌(ここではロドコッカス系と思われる)が活性汚泥相内で優占。放線菌の有するミコール酸の粘性が沈降性障害を起こしている事が確認できました。
そこで、施設内のグリストラップの容量の拡充して戴き、そこにおける清掃を頻繁に行い油脂をためにくくすること、あるいは調整槽内での攪拌量を増やす等アドバイスさせて頂きました。また、工場内での洗浄時、油脂ふきとりの実施等徹底して頂く事により、流入油脂の低減化等の対策を実施しました。
この他、維持管理に於いては余剰汚泥の引抜き量を増加させることによる、汚泥日令の短縮化を実施。放線菌の系外へのウォッシュアウトの促進も行いました。
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